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こんな本に出会った

感銘を受けた本を紹介していきます。

「植物はなぜ薬を作るのか」、他3冊

植物はなぜ薬を作るのか:斉藤和季
歴史の中の化合物−くすりと医療の歩みをたどる−:山崎幹夫
新しい植物ホルモンの科学:小柴共一・神谷勇治
薬のルーツ生薬:関水康彰

偉大なる植物の空中散布、利用できればすばらしい

新型コロナウイルスが感染拡大し、全国に先駆けて沖縄の感染は大きく広がりをみせています。
追われるような毎日の合間で「植物はなぜ薬を作るのか」という本を見つけたので読み始めました。
読んでいるうちに過去に読んだ「新しい植物ホルモンの科学」、そして「歴史の中の化合物」、「薬のルーツ生薬」を見開いて、現在と過去を行き来しながら、「植物の恩恵を受けると徳!」と結論に至りました。
仮説が浮かび上がりました。
現時点ではあくまで私が考えついた仮説でしかないので、言論の自由の範囲とお許しください。
植物、特に生命力のある植物は、はびこるウイルスの侵入を受けると、 侵入部を早めに壊死させ体位から切り放ち、別の部位が感染してしまわないよう情報伝達物質と抵抗物質を空中に出す。
人間は、植物と共に生きることで、人間もその情報伝達物質と抵抗物質を鼻から吸入し、 あるいは皮膚から吸収できる。植物の情報伝達物質と抵抗物質を人間がキャッチすることで、はびこるウイルスに感染する前に植物が発する抵抗物質が人間に合えば、感染は全く起きない。別に情報伝達物質から指令が働くことで、各個に合う抵抗物質が速やかに作りだされ、感染しない体を作ることができる。
生命力のある植物に水を与え、時に剪定などして育て続けることが、人間の健全で快適な生活につながる。


本の紹介

植物はなぜ薬を作るのか 「植物はなぜ薬を作るのか」で最も印象に残った文章が「動かないという 生存戦略を選択した植物は、地球を全く汚すことなく、多様で複雑な構造と強い生物活性をもつ植物成分を作ります。
このような植物成分を工場や実験室で人口的に作ろうとしますと多くの溶媒や化学薬品、触媒などを使って、時には高温、高圧の条件下で、たくさんのエネルギーを投入しなければなりません」とあり、確かな事実です。
植物がすでに世に出している物質を人間が薬として世に出すには、時間がかかりすぎます。
直接植物を利用するのが早い!はずです。

歴史の中の化合物 「歴史の中の化合物」では、「神の恵みは、病のあるところにかならず その治療薬を用意して下さる」と地方を探索してサリチル酸が見つかった過程を紹介しています。
サリチル酸より今では、より胃腸障害の少ない改良されたアセチルサリチル酸(アスピリン)が人間界では使われていることも紹介しています。
その過程の苦労は大変なものだったと想像できます。 ですが、人間が薬効解明こだわって病に伏せたままでいるのに、植物界はたくましい。


新しい植物ホルモンの科学 「新しい植物ホルモンの科学」の中で紹介されている発見は興味深い。
「病原菌で細胞死が起こるとサリチル酸が大量に作られ、揮発性のサリチル酸メチルが他の植物に情報伝達物質として 働き植物が病原抵抗性の情報を、空気を介して近くの植物に伝えるという 新しい発見」が書かれています。
さらに「サリチル酸の反応は植物に一般的であることが示された」とあります。
歴史上では、サリチル酸の発見によく出てくるのは柳の木です。 サリチル酸メチルは、有名なサロンパスの主成分です。
私が手にしている「新しい植物ホルモンの科学」は2002年が初版です。もう20年前の本です。

薬のルーツ生薬 「薬のルーツ生薬」では「科学的だった薬草の効能」と述べている ことからも、揮発性物質サリチル酸メチルが空気中で存在する意味 が再び脚光を浴びる日が来ると予測します。
まさに神とかの世界でなく、植物の存在するところで、 病が発生・特に感染症が発生すると、 植物が対抗する物質を作り上げて空中散布しているということは明らかで、 それは無償で利用できるものといえないだろうか。
この事は、まだ一般の方々には知れ渡っていないし、 目に見えないものの利用価値は、これまでの世の流れからすると、消えてしまうものなのでしょう。
このコロナ禍、世の中が大きく変わろうとしていると感じずにはいられません。
植物の利用が進み、地球を全く汚すことなく事がうまくいくという世の中が、現実になるかもしれません。
優しそうな植物でも子孫を残すため毒を撒くこともあるようで、植物が怒る前に協調的にいきたいものです。
人間界では、多額なお金の絡む薬ですが、植物は自身の生命をかけて自身で物質を無償で作り蓄え、
自分自身で有効利用し、さらには近くの植物の生命までも助けてあげているという事実。

まずは、実践。植物を味方に日々を過ごしてみよう。
沖縄で身近で枯れるのをほぼ見ない植物クロトンに希望を託して、 鉢にクロトンを植えて室内に時々入れてみようと思います。
時には剪定して、適度な水を飲んでもらいましょう。
力強く生きるクロトンが、揮発性物質を撒くころ、 私が弱っていたらクロトンから出た物質の恩恵を受けて 私に生きる力のスイッチが入ることに期待します。
夢物語で終わるか、現実の世界になるか、 はたまた新世界どんなことが起こるのでしょう。



シャーマンの弟子になった民族植物学者の話(上・下)

本                  著:マーク・プロトキン
                 訳:屋代通子

「エパーワーナーに代表される相互扶助と分かち合いの精神には実に感銘を受けた」というくだりがあります。 白人である彼が、このエパーワーナーに感銘を受けていいものだと感じる文面は、彼もまた受け入れる力量がある証拠です。 感性が無ければ感銘さえ受けない。

沖縄にもゆいまーるで代表される相互扶助の言葉があります。 今回彼が訪れている南米奥地にシャーマンがいて彼らと植物との密接な関係、植物を薬として利用する姿は、 沖縄では、ユタこそがシャーマンに類するものでしょう。 ユタにはあまり関係しませんが、沖縄では、民間で伝わるシンジムンで身体を健康にしてきたと思われます。 沖縄県がかつて長寿であり続けた時、沖縄県の医療体制が全国的に優れていたとは言えなかった筈なのに、 長寿でいられた生活を私たちは見直す必要に迫られていると感じずには居られません。

著者は、「キニーネはここから西に行ったペルーという国に生えている木から作られています。 白人にこの木のことを教えたのはインディオです。あなた方のお知恵を留めるお手伝いをしたいのです。 どうかあなた方のお知恵を文字にさせてください」と書きつづっています。

西洋では、ハーブが見直されています。 お腹を壊したのでカモミールティーをのむ姿がピーターラビットで表現されています。 どこの世でも身近なものを食して薬にしてきたのでしょう。

本 医療の最たるものとはなんだろうかと考えた時、これまでの過去を脱ぎ去って成り立つのではないだろうと考えます。 積み重ねの上の知恵だと。 今、セルフメディケーションをあらためて考えなければいけない時代が来ています。 医療が進む中で、何かあったら病院へと勧めていた時代の中、私たちの体は自分と向き合う事なしで、 自分の体なのにすべて他人任せになってしまってはいないか。気付かない体をつくてしまっていないか。 身に近いものを観察して取り入れていく姿。必要なものは目の前にあるという気付き。 まずは、自ら、その上で進歩続ける医療を味方にしないのはもったいない。 そんなことを考えた。植物学者マーク・プロトキンの姿勢に乾杯。

                                    (大城恭子)



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